去勢・不妊手術について

 当院では子どもを産ませる予定がないワンちゃん、ネコちゃんには、積極的に去勢・不妊手術をお勧めしています。ここでは、去勢・不妊手術について、お話しします。 手術を受けるにあたってのメリットやデメリットをしっかりと理解した上で手術を受けましょう。

 

 

男の子の場合


去勢手術ってどんな手術?
 全身麻酔下で両側の精巣(睾丸)を摘出します。ワンちゃんは基本的に10日後の抜糸が必要になります。ネコちゃんは抜糸の必要はありません。

なぜ去勢手術するの?
 一昔前までは望まれない動物を増やさないという目的が一番でした。現在の獣医学ではいくつか目的がありますが、その中のひとつとして生殖器関連の病気を予防するという大きな目的があります。どんな病気が予防できるかというと、精巣腫瘍、前立腺肥大、肛門周囲腺腫などほとんどすべての生殖器関連の病気に予防効果があります。その他の効果としては、人間と暮らす上で問題行動となってしまう性的行動(マウンティング)や縄張りを維持するための行動(マーキング)の予防。個体差はありますが、攻撃性を減らし、温和で従順な性格になる。などがあります。

いつ去勢手術すればよいの?
 性に関する問題行動を予防するためには問題行動が起こる前、つまり性成熟前に手術を行うほうが効果的です。基本的にワンちゃん、ネコちゃんともにワクチンなどの関係から、当院では生後4〜5ヶ月齢での去勢手術をお勧めしています。ただし、精巣の状態や個体差もありますので詳しく知りたい方は当院にご相談ください。

 

 

女の子の場合

 

不妊手術ってどんな手術?
 全身麻酔下で両側の卵巣、もしくは両側の卵巣と子宮を摘出します。基本的に若いワンちゃん、ネコちゃんは卵巣だけの摘出で卵巣と子宮両方を摘出する方法と同じ効果があります。ただし、手術中に子宮に異常があると判断した場合は子宮も摘出します。10日後の抜糸が必要になります。

なぜ不妊手術するの?
 一昔前までは望まれない動物を増やさないという目的が一番でした。現在の獣医学ではいくつか目的がありますが、その中のひとつとして生殖器関連の病気を予防するという大きな目的があります。どんな病気が予防できるかというと、子宮蓄膿症、卵巣嚢腫、乳腺腫瘍などがあります。その他の効果としては発情期がなくなりますので発情出血でお部屋が汚れることや発情期特有の神経質な状態や鳴き声を防ぐことができます。

いつ不妊手術すればよいの?
 基本的に当院ではワンちゃんネコちゃんともに性成熟前の手術をお勧めしています。つまり生後6ヶ月齢より前での不妊手術です。なぜ性成熟前に手術した方が良いかを乳腺腫瘍の予防効果を例にして説明します。

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参考文献
・ Schneider R, Dorn CR Taylor DON. J Natl Cancer inst. 43,1249-1261,1969.
・ Misdrop W. Acta Endocrinol(Kbh). 125(suppl),27-31,1991
・ Overley B, et al JVet intern Med. 19,560-563,2005

 

 乳腺腫瘍は女の子のワンちゃんの腫瘍の中では一番発生率の高い腫瘍です。また、ワンちゃんでは約50%が悪性(つまり癌)、ネコちゃんでは90%以上が悪性といわれています。上のグラフのようにワンちゃんもネコちゃんも性成熟より前に不妊手術をしてあげることによってこの怖い病気が90%以上予防できます。

 

 

男の子、女の子ともに

 

悪い点は?
 手術後にはほとんどの子が太りやすくなります。ただしこの問題は規則正しい食事や適度な運動で防ぐことができます。また、稀なケースですが特に大型犬で手術後に尿失禁(おもらし)が起きる場合があり、治療が必要になります。
これら悪い点もありますが、去勢手術・不妊手術によって得られる良い点はこれらをはるかに上回ります。不安なことがありましたら当院にご相談ください。

 

麻酔のリスクについて

 手術を行う上で、避けて通れないのが「麻酔」です。動物を動かないようにするためと、痛みを感じさせないために全身麻酔が必要です。短頭種(シーズー・フレンチブルドックなど)や、肥満、新生児や老齢動物は麻酔のリスクが高くなってきます。もちろん、その他の子たちもリスクはゼロではありません。

 当院では、麻酔をかける前に獣医師が患者の状態を十分確認した上で麻酔をかけ、手術中は看護師が常にモニタリングを行っています。又、ワンちゃんには術前の一般血液検査をおすすめしています。ご心配なことがありましたら当院にご相談ください。

 

 

最後に・・・
 当院ではワンちゃんの去勢手術、不妊手術には基本的に超音波メスを使用しています。これは、近年報告が増えてきた縫合糸に関する問題を防ぐためです。お腹の中に残す異物を少しでも減らす動物にやさしい獣医療を目指しています。
 また、不妊手術や潜伏睾丸の去勢手術の際には腹腔鏡による手術を選択していただくこともできます。

詳しくは腹腔鏡のページをご覧ください。